作者の言葉

「あなたがこのページにたどり着いたのを、ただの偶然だけで終わらせたくはないと思っているんだ」

「作品」は自分の子どものように思っています。そう簡単に手放すことができない 「作品」 と大切な 「言葉」です

「もしも人に上手に話すことができたならば、きっと絵は描いてなかったと思う」

「作品が完成した分だけ、自分は生きることができたと実感できる」

・応援してくれる人や支えてくれる人たちのおかげで、今のがいる。本当に感謝しています。
 何か気に入った作品などがありましたら、画像を共有したり、情報として広めていただけると本当に嬉しいです。

1 「一度、死にかけたこと」

 2017年10月31日のお昼過ぎに、生徒の作品展(市総合教育展)の作品搬入の時、会場の入り口で突然倒れました。近くにいた先生にAEDを施してもらい救急車で運ばれました。救急車が到着した時に意識が戻りました。しばらく入院をして、色々な検査を受けましたが、原因は分からず、病名は「心室細動」と書かれました。11月16日に、左胸にICD(体内植込み型医療機器)を埋め込む手術をしました。この機械は、もしも心臓が止まった時など、AEDと同じように心臓に電気ショックなどを与えるもの。僕の左胸は、コンパスを入れるプラスチックのケースぐらい(あるいは、PC用マウスを一回り小さくしたぐらい)のふくらみがあります。電池は10年ぐらいもつそうですが、逆に言えば10年ごとに電池交換の手術が待っているということ。生徒の作品展は、他の先生方の協力で無事に終えることができたことは良かったと思っています。一度は死にかけた命、もしかしたら今日終わってしまうかもしれない命、大切に過ごしていこうと思います。退院をして自宅療養の期間に、近所の公園に散歩している中で、公園で拾った「木」と、家にあった「玉子」と「折り鶴」と「赤い紐」を組み合わせて作品を作りました。下の絵は、その作品を水彩で描いたもの。この作品には、自宅でのリハビリ期間当時の「転んでもタダでは起きない」の精神が込められています。

・No.97「木と玉子の絵画」Painting of Tree and Egg(水彩画バージョン)

2 「絵が上手くなるコツについて」

 絵は誰でもたくさんの枚数を描いて練習を重ねれば上達します。しかし、短期間で「上達するためのコツ」をお教えしたいと思います。

 それは、一言で言えば、「 感受性を使って描く 」ということです。どういうことかと言うと、普通の人は絵を描く時に「対象をよく観る」ということを心掛けると思います。それだと、記憶力の良い人が有利ということになります。しかし、その記憶力の良い人を超える絵を描くコツこそが、「感受性を使って描く」ということなのです。

その流れは、①「 対象も見る 」⇒②「 何かしら感動する 」⇒③「 心に焼き付ける 」⇒④「 その感動を忘れないうちに、紙に描き止める 」という手順となります。

 そうすると、不思議と「自分が感動したことが、その絵を見た人にも伝わる」というプラスの要素が絵に組み込まれることになり、記憶力の良い人を超える絵画を描けるようになるということなのです。また、心を大きく動かすことによって、人間の記憶力は最大限に活用されるようになります。今まで自分が覚えていることを思い出してみてください。はっきり覚えていることは、「あの時すごく楽しかった」とか「すごく悲しかった」とか「すごく悔しかった」とか「すごく嬉しかった」とか「すごく苦しかった」とか、とにかく人生で一番心を動かした(とても感動した)ようなことを覚えているのではないでしょうか。勉強でも、クイズ形式にして、間違った時の悔しさでその答えを覚えるというのはよくあることです。学生の頃の授業でも、先生が言った面白い話はよく覚えているということはないでしょうか。まさに、絵が早く上達するためのコツなのです。

 たとえば、美しい花を見て「この美しい花は、明日には枯れてしまうかもしれない。その前に、絵に描き留めておこう」というのが絵の原点でもあるし、芸術の本質だと思うのです。目の前に美しい風景があったとしても、それ自体が芸術なのではなく、それを美しいと感じる人間の心が、その風景を芸術にしていくのだと考えられるのです。そして、その感動は描く対象の形を正確に記憶し表現するとともに、その時の作者の感動までも絵の中に挿入できるというまさに一石二鳥のコツになっていくわけです。

 そこで問題なのは、②の「何かしら感動する」というテクニックです。これから描こうとする物に、何も感動する要素がないことの方が実際は多いのです。感動できないのならば、上記に書いたことは全て無意味なものとなってしまいます。そこで、絵を描く時(たとえば美大の受験で目の前のモチーフを描かなければならない時など)に、私がよく使う手として「無理にでも感動してから描く」ということです。

 「無理にでも感動」の手順⇒①「赤ちゃんみたいな純真で真っ白な心にする」⇒②「この地球にやってきて、初めて見た物がこれだ!という気持ちで感動する」⇒③よく見ると「何でこんな形をしているんだろう」とか「不思議な物だ」とか「このラインは美しい形だなあ」だとか「面白い形だ」「持ってみたら重そう」「触ったらこんな感じ」「周りに流れている空気の流れはこう」などと、涙が出そうなぐらい(大げさではなく)感動して心に強く焼き付ける。⇒④「心に焼き付けた形を、そのまま角度などに気を付けながら、正確に紙に写す。という感じで描いてみましょう。

<下記にある全ての感受性を発揮して、絵を描くと⇒写実描写となるでしょう>

・形の正確さ
・実物の強さや物の明暗
・光や影を描いての立体感(床の影や隙間の暗さなども)
・触った感じなどの質感(柔らかさ、硬さ、温かさ冷たさなどの温度)
・持ったとしたらの重さ、存在感
・周りに流れている空気や空間

<全ての表現ができると、 絵の中の物がつかめそうな感じになるはず>
 もしも、つかめそうな感じがしなかったなら、もう一度、上記の内容を確認していこう!(特に、「輪郭の線の扱い」「影」や「存在感の強さ」などは重要です)
 何も考えないで描いた線は、見る人にも何も与えないただの線で終わるでしょう。

 本当に強く感動して絵を描けたなら、必ずその絵を観た人にも、作者と同じ感動を伝えることができるはず。と信じて美大の受験で合格することができました。「美しいと思って描けば、美しい絵になる」「面白いと思って描けば、面白い絵になる」「気持ち悪いと思って絵を描けば、気持ち悪い絵になる」というのが、私の結論です。

   ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 ただ、逆のことを言うようではありますが、「上手い絵」が描けるようになったら次は個性的な表現を目指していきましょう。上手いだけではなく、色々な個性の絵があっていいと思います。世の中に色々な個性を持った人がいて面白いように。

3 「99点の絵画作品について」

 このNo.1~No.99までの絵画作品は、私のライフワークです。最初から、99点と決めて制作に入りました。「ボールペンデッサンVer.」「水彩画Ver.」「アクリル(ジクレー版画)Ver.」「F10キャンバス・アクリルVer.」という4つの種類のバージョンの絵画と、「詩」で表現しています。
 この作品の始まりは、歌川広重の『東海道五十三次』の影響を受け、現代版の空想的な浮世絵をイメージしています。すでに亡くなった父が、自分が小学生の頃に集めていたのが、お茶漬けの素に付いてきた『東海道五十三次』の小さなカードでした。絵に興味があるとは思えない父がコレクションしている様子を見て、子供ながらに仮面ライダーカードを集める自分とそんなに変わらないと思うと同時に、大人買いができる立場を羨ましいと思いました。また、浮世絵の持つ日本人の潜在的な感性を揺さぶる線や色彩、そして構図は、日本の重要な宝物だと直感しました。
 美大を出て、美術の教員となった後、次の個展(佐倉・川村記念美術館付属ギャラリー1995)に向けての絵の制作に取り組もうと考えた時、この『東海道五十三次』や葛飾北斎の『富嶽三十六景』をイメージした作品群の制作を決心しました すでに、No.99があるので、もう完成していると思われるかもしれませんが、実は未だに作品の手直しをしたり、気に入らない作品を別の作品と入れ替えたりして完成までまだまだです。特に、「F10キャンバス・アクリルバージョンの絵」は、一生かかっても99点すべては描き切れないと思っているので、一生かけてできるところまでと考えているのが本音です。どうぞよろしくお願いします。

・亡き父の、広重『東海道五十三次』のカード(お茶漬けの素に付いてきたおまけのコンプリートセット)


4 「幸せの後は、気をつけて」

 No.34の作品を制作していた頃、物事に対し、良い時と悪い時の波が大きい時期がありました。「人生、山あり谷あり」という諺(ことわざ)がありますが、なぜか大きな幸せの後は不幸なことが起きることが多いし、苦しい時には助けてくれる人が現れたりもします。ですから、今の願いは、他人に気づかれないぐらいの小さな幸せを、小さく続けていきたいということです。もしも大きな幸せがあった場合は、決しておごり高ぶらず、謙虚に周りに感謝をして、大きな不幸が来ないように慎重な言動を心掛けたいと考えています。「幸せの後は、気をつけて」という言葉は、No.34の絵には直接関係していないのですが、丁度、そんなことを考えていた時に制作していたので、この絵のタイトルに付けました。

・No.34「幸せの後は、気をつけて」After Happiness, Be Careful (水彩画バージョン)


5 「他人のことは、思うようにいかない」

 まさに、「他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来だけ」と誰かが言った通り、他人のことは思うようにいかないことが多いでしょう。そんなストレスの中、絵を描いていると「絵は、自分の思った通りに描くことができる」と、精神のバランスを保つことができました。絵を描くことが、ストレスの発散につながることもあるというのを体感しました。また、絵は、作者の心を映し出すこともあるでしょう。

・No.38 「タツノオトシゴ」Seahorse  (水彩画バージョン)


6 「F6の額」

 ある日、画材屋さんへ行った時に、安売りのF6の額があったので、つい買ってしまった。普通は、絵があって、その絵を飾るために額を購入するというのが一般的な流れだと思いますが、その時は違いました。家に帰ってから「やっぱり返品しようかな」とも考えたのですが、それも面倒になってしばらく物置の中に放置していました。
 気持ちと時間に余裕ができた時に「よし、F6のキャンバスを買いに行こう」と車に乗って、画材屋さんに再び向かいました。その時にも、まだ何を描くか決まっていませんでした。これも一般的な流れとは逆行していました。
 家に帰って、F6の白いキャンバスと向き合い「何を描こうか」考える。普段はF10を縦に使うことが多いので、今回は横構図にしようと決めました。次に、「何か模様と、少しレオナルド・ダ・ビンチのデッサンのような描写を組み合わせたもの」というイメージがわいてきて、鉛筆で一筆書きの線をグルグルと入れた。そこに何か意味を持たせるのではなく、ただ、面の分割のバランスを意識しました。「分割した面」に色を乗せ、ダ・ビンチをデッサンを描き、影を付けて少し立体感を出しました。
 何の計画もなしに、額を買ってから、後から絵を描いたという話でした。

・「無題」2017.8.13(F6キャンバス・アクリル)

7 「我慢すること ができれば、ほぼ成功であろう」

 今まで数えきれないほどの失敗をしてきました。思い起こすと、その大部分が「我慢できなかった時」でした。逆に言えば、我慢することを最後まで通すことができればそれで成功なのだと思っています。そのためには、過度なプライドは捨て、結果を予測し、広い心と毅然とした態度で、頑張ることなのかなあと思います。「我慢することができれば、それで成功」だと思います。

・No.44「モデル人形」Model Doll (水彩画バージョン)


8 「苦しみを背負っている人へ」

 生きることは大変なことでしょう。周りからは分からなくても、人それぞれ何かしらの困難を背負って過ごしています。それでも、日々生き抜かなければならないし、一つ一つの苦しみや悲しみを乗り越えていかなければならないのだと思います。それは「自分だけではない」と考えられる人は良いのですが、「なぜ自分だけが」と考えてしまう人が大きな苦しみを感じてしまうのかしれません。だから、深呼吸をして、大きな空を見上げて周りに助けを求め「最後は必ず時間が解決してくれる」と思って穏やかに生き抜いていきましょう。

・No.35 「航海と後悔」Voyage and Regret (水彩画バージョン)


9 「ニュースを見ていて思うこと」

 週刊誌がスクープした記事の中には、スクープされた本人とその周りを結果的に不幸にしてしまう時があるのがとても残念です。おそらく、世の中の「正義」と思われている物差しで、悪いことをした人を懲らしめているのだと思いますが、でも、そのスクープ記事が出なければ誰も知らないまま、誰も不幸にならなかったのにという時がたまにあります。勿論「悪いことは悪い」ので、その線引きは難しいとは思います。自分自身にまったく被害がないニュースなので、そう思うのかもしれません。